新高齢者医療で公費負担減 厚労省試算 民主徹底追及へ
2008年05月23日朝日新聞
75歳以上が対象の後期高齢者医療制度で、医療費に充てる公費の割合が旧制度より少ないことが、厚生労働省の試算で明らかになった。政府は「税金を重点的に配分し、国民全体で支える」と説明しており、廃止法案を提出した民主党は「国はウソをついた」として国会で追及する。
厚労省が21日に民主党に示した試算によると、後期高齢者医療制度を導入しなかった場合、08年度の75歳以上の医療費は11兆8700億円。財源は公費6兆5300億円、財源全体の55%なのに対し、新制度は11兆3700億円の財源のうち公費5兆9100億円、52%だ。
この試算をもとに、民主党側は「これまでの説明と違う」「これでは国の丸もうけだ」と批判している。
福田首相は20日、「前の制度では、高齢者が増えて(医療費を)支えていくのが無理。今度は高齢者に集中的に税金を投入していこうと決めた」と述べていた。
厚労省によると、公費負担が減った理由は、国民健康保険を通じて高齢者の医療費に拠出している税金が新制度では旧制度より減るためだという。「税の重点配分」という説明も「高齢者の医療費は、旧制度と同じく主に税金で支えるという意味」とし、矛盾はないとする。
一方、民主党は新制度廃止法案の審議でも追及し、政府・与党にゆさぶりをかける方針だ。
だが、民主党などの廃止法案にも弱みがある。新制度では、低所得の夫婦世帯の保険料が負担増となる傾向が強い一方で、自治体間の保険料水準の格差は5倍から2倍へと縮小し、負担減になった人も相当数いる。旧制度に戻せば再び格差が広がるが、「差別的な新制度よりはまし」(直嶋正行政調会長)としてあくまでも廃止を求めるという。
また、民主党は新制度の導入を決めた06年の国会審議で、旧制度について「(健康保険組合など)保険者の我慢も限界」「高齢者への拠出金が3割、4割いってしまう不満を払拭(ふっしょく)できていない」と批判。00年には鳩山由紀夫代表(当時)が「高齢者を対象とする新しい医療保険制度を創設する」と発言している。審議では、こうした過去の発言を与党に突かれる可能性もある。
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